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【現場向け】欠相(けっそう)とは?症状・原因・調べ方を排水ポンプ事例で解説

欠相トラブルのイメージ

ポンプや空調機が突然停止したり、「ブーン」という異音を出して正常に回転しない場合、欠相(けっそう)が発生している可能性があります。 欠相は、三相モーター設備でよく遭遇する代表的な電気トラブルのひとつで、放置するとモーター焼損設備停止につながることもあります。

実際の現場では、次のような症状として気づくケースが多いです。

  • モーターが唸る(ブーン音)
  • 回転しない/起動しない
  • サーマル(過負荷保護)が動作する
  • 欠相エラーが発報する
  • 電圧が低下している

本記事では、私が現場で遭遇した排水ポンプの欠相トラブルをもとに、 欠相の基礎から確認の手順、業者へ引き継ぐ際のポイント、そして最終的に何が原因だったのかまで、ビルメン実務目線でまとめます。

欠相とは?

欠相(けっそう)とは、三相電源(R/S/T、U/V/Wなど)のうち一部の相が断線・接触不良等で失われた状態のことです。 三相モーターは3つの相がそろって回転磁界を作り、安定して回ります。ところが欠相が起きると電圧バランスが崩れ、 起動できない過電流が流れる異常発熱するといった不具合につながります。

ビルメン現場では、特に次のような三相モーター機器で欠相が発生しやすいです。

  • 排水ポンプ(雨水・汚水)
  • 冷温水ポンプ
  • 空調機(AHU、PACなど)
  • 送風機
  • 冷却塔ファン

重要なのは、欠相は「電源がゼロになる」だけではなく、残りの相に無理がかかって壊れるタイプのトラブルだという点です。 「そのうち直るだろう」「一回動いたから大丈夫」と放置すると、短時間でも焼損に至ることがあります。

欠相で起きる症状

欠相が発生すると、モーターには正常な三相電源が供給されなくなるため、さまざまな異常が発生します。 現場で「欠相かも?」と気づくために、代表的な症状を整理しておきます。

1) 始動不良・異音(ブーン音)

起動操作をしても回転が立ち上がらず、モーターが「ブーン」と唸るだけの状態になることがあります。 これは回転磁界がうまく作れず、トルクが出ない状況で起きやすいです。

2) 異常振動・回転速度低下

回転バランスが崩れることで振動が大きくなる、または回転速度が落ちるケースがあります。 ポンプであれば吐出量が落ちる、空調機であれば風量が落ちる、といった二次症状で発見されることもあります。

3) 過電流・サーマル動作・モーター焼損

欠相していない残り2相へ過大な電流が流れやすく、保護装置(サーマルリレー等)が動作します。 ただし保護が効かない/設定が合っていない/短時間で急激に熱を持つ、といった条件が重なると、 モーター巻線が異常発熱し、最悪の場合は焼損絶縁破壊につながる恐れがあります。

現場メモ:「ブーン音+回らない」だけで機械固着を疑いがちですが、欠相でも同じ症状が出ます。電気・機械の両面で早めに切り分けるのが安全です。

実際に遭遇した欠相トラブル(排水ポンプ)

実際に、屋外に設置されている雨水用排水ポンプで欠相トラブルが発生したことがありました。 防災センターの監視モニターにて、排水ポンプのエラー警報が発報したため現地確認を実施しました。

一度リセットを行い復旧を試みましたが、起動時にモーターから「ブーン」という大きな唸り音が発生し、正常に回転しない状態でした。 制御盤の液晶パネルを確認すると、本来約200V付近であるはずの電圧表示が約180Vまで低下していました。

さらにエラーコードを確認したところ「欠相異常」が表示され、UVW相のうちW相が欠相していることが判明しました。 屋外設置の排水ポンプは、水槽内に砂や小石などのゴミが溜まりやすく、ポンプ内部が回転しにくい(負荷が高い)状態になりやすいです。

この状態で欠相が発生すると、モーターは十分な回転力を出せず、さらに負荷が重いことで電流が上がりやすくなります。 欠相のまま高負荷で運転を続けると、残った相へ過大な電流が流れ、短時間で異常発熱・発煙・コイル焼損を引き起こす可能性があります。 そのため、この時点で「無理に回す」のは避け、原因の切り分けへ進みました。

欠相の主な原因(現場で多い順)

欠相は「どこかで相が途切れている」状態なので、原因候補は電源側〜負荷側まで幅広いです。 ただ、現場で遭遇しやすいポイントを優先順位で並べると、概ね以下が多い印象です。

  • ヒューズ切れ(溶断、接触不良含む)
  • ブレーカー不良(内部接点の不良、経年劣化)
  • 端子のゆるみ(振動・熱による緩み、増し締め不足)
  • 配線断線(ケーブル劣化、屈曲部、端末処理部)
  • マグネットスイッチの接触不良(焼け、摩耗、汚れ)
  • 経年劣化による部品不良(端子台、リレー、保護装置など)

また、今回のように「欠相と表示される」状況でも、電気系統だけでなく機械的な過負荷(固着、異物噛み込み)を起点に 保護動作や電圧低下が絡み、結果として欠相のような症状に見えることもあります。 「欠相=配線だけ」と決め打ちせず、全体像で見るのがポイントです。

欠相の調べ方(安全第一の手順)

欠相確認では、安全確認を最優先に行う必要があります。

注意(必須):必ずブレーカーをOFFにし、テスターで0V確認を行ってから点検してください。可能であればロックアウト/タグアウト等、現場ルールに従って第三者の誤投入も防止します。

① 制御盤の表示確認(まずは情報を拾う)

まずは制御盤の液晶表示、警報履歴、電圧表示、運転状態(自動/手動、交互運転など)を確認します。 今回のケースでは、通常約200Vである電圧表示が180Vまで低下していました。 こうした「いつもと違う数値」は、原因切り分けの重要な手がかりになります。

② エラーコード確認(どの相・どの系統か)

エラーコードや盤のメッセージから「欠相異常」が出ているか、どの相(U/V/W等)かを確認します。 欠相検出がある盤なら、相まで表示してくれるケースがあり、現地対応がかなり楽になります。

③ どこまで自分で切り分けるか決める

ビルメン現場では、作業範囲・資格・社内ルール・契約範囲があります。 無理に深追いせず、「安全に確認できる範囲で、原因の当たりをつける」のが現実的です。 その上で、モーター側・マグネット側など「交換部位の候補」を絞れると、復旧が早くなります。

モーター側の確認方法(UVW導通・抵抗値の目安)

モーター端子の確認

モーター側では、UVW各相の導通状態(抵抗値)を確認します。 測定は必ず無電圧確認後に行い、端子のマーキング(U/V/W)を見落とさないようにします。

  • U-V間
  • V-W間
  • U-W間

上記をそれぞれ測定し、3相とも同程度の抵抗値であれば正常の可能性が高いです。 逆に、以下がある場合は断線や巻線異常の可能性があります。

  • ∞(導通なし)が出る(どこかが切れている)
  • 抵抗値の大きなばらつきがある(巻線異常の疑い)

なお、抵抗値の「絶対値」はモーター容量や仕様で変わります。 重要なのは、相間のバランスと、以前の記録(あれば)との比較です。 設備台帳に測定値を残しておくと、次回トラブル時の判断が一気に楽になります。

マグネットスイッチ側の確認方法(接点の導通)

マグネットスイッチの確認

マグネットスイッチ(電磁接触器)側を確認する場合は、中央の可動部分を押し込み(手動投入)ながら導通確認を行います。 テスターを導通モードに設定し、同一相の入力側〜出力側端子間を測定します。

正常であれば導通がありますが、以下の場合は接点不良や断線の可能性があります。

  • 数値が出ない/ブザーが鳴らない
  • ∞表示になる

接点が焼けている場合、導通が不安定(つながったり切れたり)になることもあります。 「一瞬は鳴るけど安定しない」などの挙動も、業者へ引き継ぐ際の重要情報になります。

業者へ引き継ぐために自分たちで確認する理由

欠相トラブルが発生した場合、最終的には専門業者へ調査や修理を依頼するケースも多いです。 もちろん、状況によっては「すぐ業者」が正解ですが、事前にある程度の確認を行っておくことで原因の切り分けが一段進み、復旧までの時間短縮につながります。

業者に伝えると喜ばれる情報は、例えば次のようなものです。

  • どの相で異常が発生しているか(例:W相欠相)
  • エラーコード/警報履歴の内容(いつ出たか、何回出たか)
  • 異音(ブーン音)、電圧低下の有無(200V→180Vなど)
  • モーター側(相間抵抗)に明確な異常があるか
  • マグネットスイッチ側(接点導通)に異常があるか
  • 周辺状況(屋外盤、結露、砂・石の堆積、豪雨後など)

これらを整理して伝えるだけで、「どこから調べるべきか」「部品を持っていくべきか」が決まりやすくなります。 結果的に、訪問回数が減ってコスト・時間ともに抑えられることがあります。

最終的な原因と業者対応(電気だけで決まらない)

今回のケースでは、モーター側・マグネットスイッチ側・制御盤側など複数の方法で確認を行っても、 明確な異常値は確認できませんでした。 そのため、確認した内容を整理して業者へ報告しました。

その後、業者による現地調査が行われた結果、ポンプ内部の異常が疑われ、 最終的にポンプ本体の交換が必要であることが判明しました。

今回の経験から、欠相トラブルでは電気的な異常だけでなく、 ポンプ内部の固着や異物噛み込みなど機械的負荷も含めて考える重要性を学びました。 「盤が欠相と言っている=必ず配線不良」とは限らないため、現場では総合的な判断が必要です。

まとめ

欠相は、ポンプや空調機などの三相モーター設備で発生する代表的な電気トラブルのひとつです。 放置すると、以下のような重大トラブルにつながる可能性があります。

  • モーター焼損
  • 異常発熱
  • 設備停止
  • 高額修理

現場では、異音(ブーン音)・電圧低下・欠相エラー・異常振動などの症状を早めに確認し、 安全第一で原因を切り分けることが重要です。 また今回のように、電気的異常だけではなく、異物噛み込みや固着などの機械的要因が関係しているケースもあります。 「電気」「機械」「環境(屋外・水・砂)」をセットで見る意識が、復旧の早さと設備保護につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「ブーン」と唸って回らないとき、欠相以外に何が考えられますか?

機械的にはポンプの固着・異物噛み込み、ベアリング不良などが考えられます。 電気的には欠相のほか、電圧低下、マグネット接点不良、保護装置の誤動作なども候補です。 まずは盤の表示(電圧・エラー)を確認し、無理に回さず切り分けるのが安全です。

Q2. 欠相は一時的に直ることがありますか?

端子のゆるみや接点不良が原因の場合、振動や温度変化で一時的に復帰することがあります。 ただし「直ったように見える」だけで再発しやすく、焼損リスクもあるため、 警報履歴や盤内点検を含めて原因をつぶすのが望ましいです。

Q3. 業者へ依頼する前に、最低限メモしておくべき情報は?

エラーコード内容(欠相か、どの相か)、電圧表示の変化、異音の有無、発生時刻(天候も含む)、 そして「モーター側・マグネット側で導通に異常があったか/なかったか」です。 この情報があると、業者が持参する部材や調査手順を組みやすくなります。

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